新しい旅の計画を立てる時、心躍る瞬間のひとつが「スーツケース選び」
ではないでしょうか。
しかし、デザインや価格だけで安易に選んでしまうと
「サイズが合わなかった」
「すぐに壊れてしまった」
「使い勝手が悪かった」
など、旅先で後悔することになりかねません。
こんにちは!大阪・伊丹空港の近くで、リモワやサムソナイトをはじめ
日々多くのスーツケースを修理・再生している株式会社ヒデ工房(HIDECOBO)です。
私たちは、毎日たくさんの「壊れてしまったスーツケース」を見ています。
だからこそ、皆様には「購入する時から、長く安心して使える一台を選んでほしい」
と心から願っています。
この記事では、修理のプロである私たちが、これから旅の相棒を見つけるあなたへ
失敗しないための「10の重要ポイント」を、どこよりも詳しく、そして専門家の
視点を交えて徹底解説します。
Point 1:【サイズ】旅のスタイルを決める最重要項目
スーツケース選びの第一歩は、自分に合ったサイズを知ることです。
正しいサイズの測り方:「総外寸」が全て
まず覚えていただきたいのは、航空会社の手荷物基準は、ハンドルやキャスターなど
全ての突起部分を含めた「総外寸」で決まるということです。本体の箱部分のサイズ
「外寸」と間違えないように注意しましょう。当記事で紹介するサイズも、すべてこの
「総外寸」を基準にしています。
宿泊日数別サイズの目安
以下の表を目安に、ご自身の旅のスタイルに合わせてお選びください。
サイズS
宿泊目安 1泊~3泊
3辺合計(総外寸)~115cm
容量目安 ~39L
おすすめ渡航先 国内旅行、短期出張、韓国、台湾
サイズM
宿泊目安 3泊~5泊
3辺合計(総外寸)131~150cm
容量目安 40~69L
おすすめ渡航先 グアム、東南アジア
サイズL
宿泊目安 5泊~10泊
3辺合計 144~160cm
容量目安 70~89L
おすすめ渡航先 ハワイ、オーストラリア、ヨーロッパ周遊
サイズLL
宿泊目安 10泊以上
3辺合計(総外寸)160cm~180cm
容量目安 90L~120L
長期留学、海外赴任、アメリカ
大きすぎるスーツケースの落とし穴
「大は小を兼ねる」と考えがちですが、スーツケースにおいてはデメリットもあります。
破損リスクの増大: スーツケース内部に空間ができると、外部からの衝撃でボディが
凹んだり、割れたりするリスクが高まります。
中身がスカスカの場合は、衣類や緩衝材で隙間を埋める工夫が必要です。
重量超過: 大きなスーツケースは、ついつい荷物を詰め込みがち。
航空会社の重量制限を超えてしまい、高額な超過料金を請求されるケースも少なくありません。
Point 2:【航空規定】ルールを知ってスムーズな旅を
スーツケースのサイズは、航空会社の規定、特に「機内持ち込み」か
「預け入れ」かによって厳しく定められています。
機内持ち込み vs 預け入れ
(メリット・デメリット)
機内持ち込み
・到着後すぐに空港を出られる
・破損や紛失(ロストバゲージ)のリスクがない
・荷物の量に限りがある
・液体物の持ち込みに厳しい制限がある
預け入れ
・大量の荷物を運べる
・搭乗までの移動が身軽になる
・荷物が出てくるまで待つ必要がある
・破損や紛失のリスクがある
航空会社別 サイズ・重量制限
規定は頻繁に変更されるため、搭乗前に必ずご利用の航空会社の
公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください。
【国内線】
機内持ち込み: 100席以上の機体で3辺合計115cm以内(10kg以内)が一般的。
無料預け入れ: JAL・ANA共に20kg以内、3辺合計203cm以内が基準。
【国際線】
機内持ち込み: 3辺合計115cm以内(7kg~10kg程度)が主流。
無料預け入れ: エコノミークラスでは、3辺合計158cm以内(通称「158cmの壁」)
重量23kg以内が多くの航空会社で採用されている基準です。
【LCC(格安航空会社)】
LCCはJALやANAより規定が厳しい傾向にあります。
特に機内持ち込みの重量(7kg以内が主流)には注意が必要です。
預け入れ荷物は有料オプションの場合がほとんどです。
Point 3:【素材】強度と重さ、修理のしやすさが決まる
ボディの素材は、スーツケースの性格を決定づける重要な要素です。
修理のプロから見ても、ここは特にこだわってほしいポイントです。
ポリカーボネート(PC): 現在のハードケースの主流
軽量で柔軟性があり、衝撃を吸収して割れにくいのが特長です。
鏡面仕上げは美しいですが傷が目立ちやすく、マット(エンボス)加工は傷が目立ちにくいです。
ABS樹脂: ポリカーボネートより安価ですが、単体だと強度や耐久性で劣ります。
PCと混合した「PC+ABS」素材が多く使われています。
アルミニウム合金: 最も頑丈で、独特の高級感と経年変化
(凹みや傷が「味」になる)が魅力
しかし、非常に重く高価です。
一度凹むと完全には元に戻らないため、修理には高い技術が求められます。
布・繊維(ソフトケース): 軽量で、外側にポケットが多くて便利
柔軟性があるため衝撃で割れることはありませんが、防水性や防犯面ではハードケースに劣ります。
Point 4:【開閉タイプ】防犯性と利便性のトレードオフ
開閉方式は大きく分けて2種類
それぞれのメリット・デメリットを理解しましょう。
ファスナータイプ: 軽量で、柔軟性があるため衝撃で歪んでも開閉しやすいのが魅力。
少しだけ開けて荷物を取り出すことも可能です。
一方、鋭利な刃物などでこじ開けられるリスクがあり、防犯面ではフレームタイプに劣ります。
フレームタイプ:
金属のフレームでがっちりと固定するため、頑丈で防犯性が高いのが最大のメリット、密閉性も高いです。
しかし、重量が重くなることと、フレーム自体が歪んでしまうと開閉が困難になるという弱点があります。
Point 5:【キャスター】旅の快適さを左右する「足回り」
キャスターは、スーツケースの中で最も破損しやすいパーツNo.1です。
選び方とメンテナンスが寿命を大きく左右します。
2輪 vs 4輪:
2輪: キャスター径が大きく、石畳などの悪路でも安定して走行できます。
埋め込み式が多く、4輪より壊れにくい傾向にあります。引いて歩くスタイルになります。
4輪: 360度自在に動くため、狭い場所や人混みでの取り回しが非常にスムーズ。
「押して」歩けるので体への負担も少なく、近年はほとんどがこのタイプです。
シングルホイール vs ダブルホイール:
4輪タイプの中にも、1つの脚に1つの車輪が付いたシングルと、2つの車輪が付いた
ダブルがあります。
ダブルホイールの方が接地面積が広く、より安定した走行が可能です。
修理屋からのアドバイス: キャスターは消耗品です。
購入時に、ネジで簡単に交換できる構造になっているかを確認しておくと
万が一の際に修理費用を抑えられます。
使用後の簡単な掃除も、寿命を延ばすのに非常に効果的です。
Point 6:【ブランド】信頼と個性の象徴
数あるブランドの中から、修理の現場でよく見かける代表的なブランドを
プロの視点を交えてご紹介します。
リモワ (RIMOWA): スーツケースの王様
洗練されたデザインとブランド力は唯一無二、アルミの凹み修理は
腕の見せ所ですが、ポリカーボネートモデルも非常に高品質です。
サムソナイト (Samsonite): 世界シェアNo.1
独自開発の超軽量素材「カーヴ」を使用した
『コスモライト』
『シーライト』
シリーズは革命的!品質と革新性のバランスに優れます。
プロテカ (PROTECA): 日本のエース社が手掛ける高品質ブランド
「MADE IN JAPAN」
の安心感と、静音キャスターやベアロンホイールなど、日本のユーザーに
寄り添ったきめ細やかな機能が魅力です。
グローブ・トロッター (GLOBE TROTTER):
英国王室も愛用する、100年以上の歴史を持つブランド
ヴァルカン・ファイバーという特殊な紙を何層にも重ねたボディは
使い込むほどに味が出ます。修理にも特別な知識が必要です。
無印良品 (MUJI): シンプルで機能的、かつリーズナブル
キャスターストッパー機能など、かゆい所に手が届く設計で人気。
コストパフォーマンスは抜群です。
Point 7:【特徴】あなたの旅のスタイルで選ぶ
あなたが旅に何を求めるかで、選ぶべきスーツケースのタイプは変わってきます。
軽量タイプ: とにかく軽さを重視するならこのタイプ
航空会社の重量制限をクリアしやすく、持ち運びも楽々です。
サムソナイトのシーライトやリモワのエッセンシャルライトが代表格。
デザイン重視タイプ: 旅の気分を上げる、おしゃれでかわいいスーツケース
エースの『HaNT mine』や
クラッシュ加工が特徴の『クラッシュバゲージ』
などが人気です。
強度重視タイプ: 荷物を絶対に守りたいなら、堅牢性を重視
リモワのアルミニウムモデルや、プロテカのフレームタイプがおすすめです。
機能重視タイプ:
フロントオープンポケットやPC収納、キャスターストッパーなど
ビジネス出張などで役立つ便利な機能を備えたモデル。
プロテカの『スタリア』シリーズなどが有名です。
Point 8:【TSAロック】アメリカ旅行の必需品
アメリカ(ハワイ、グアム、サイパン等を含む)へ旅行・出張するなら
TSAロック搭載モデルは必須です。TSAロックとは、アメリカ運輸保安局(TSA)が
認可したロックシステムのこと。
空港で職員が中身を検査する必要があると判断した場合、職員が持つ特殊な
マスターキーで解錠できるため、鍵を破壊されずに済みます。
Point 9:【購入 vs レンタル】あなたの利用頻度は?
スーツケースの利用頻度が低い場合、「レンタル」という選択肢も賢明です。
購入のメリット
長く使えば元が取れる
自分の好きなものを所有できる
自分用にカスタマイズできる(シールやタグなどたくさんつけられる9
自分の鞄だとわかりやすいように工夫ができる
レンタルのメリット
1回の旅行なら圧倒的に安い
保管場所が不要
旅行の度に行き先や日数に合ったものを選べる
購入前のお試し利用ができる
年に1〜2回程度の旅行ならレンタル、出張などで頻繁に使うなら購入
といったように、ご自身のライフスタイルに合わせて選びましょう。
Point 10:【修理のこと】購入時から考える
最後のポイントは、私たち修理のプロからの提言です。
それは「このスーツケースは、修理しやすいか?」という視点を持つことです。
キャスターやハンドルが一般的なネジで固定されているか?
ブランドが修理用のパーツを供給しているか?
などを少しだけ意識するだけで、万が一の時にかかる修理費用や時間を大きく節約できます。
信頼できるブランドの製品は、こうしたアフターサービスの面でも優れていることが多いです。
まとめ:最高の「相棒」を見つけるために
スーツケースは、あなたの大切な荷物を守り、旅を共にする「相棒」です。
今回ご紹介した10のポイントを参考に、ご自身の旅のスタイルと照らし合わせながら
じっくりと選んでみてください。
デザインや価格だけでなく、その背景にある素材や構造、そして修理のことまで
考えて選んだ一台は、きっとあなたの旅をより豊かで、安心なものにしてくれるはずです。
もし、今お持ちのスーツケースの修理でお困りの際や、これから購入するスーツケースに
ついて専門的なアドバイスが欲しい時は、いつでも私たち株式会社ヒデ工房にご相談ください。
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